【やっぱり、どうしようもなく】
正直に話した。ルフィに。
話があるんだ、とルフィに言った時、その話の内容をもう知っているかのような顔で
頷いた。いつものように「なんの話だ~?」という暢気な顔ではなく、
なんか、、、、怒った顔で頷いた。
人に聞かれたくない話だとわかっていたのか、見張台に上れ、といわれ、大人しくマストを登った。
立ったまま話を切り出そうとしたら「座れ、ゾロ」と命令される。
しばし気まずい空気が流れた後、勇気を出して本当のことをありのまましゃべった。
「こんなの、ダメだ、と思っていたんだけど、、、、気持ちが収まってくれねぇんだ」
サンジにゴリ押しされたわけじゃねぇ。俺のほうも、どうしようもないんだ。
だからといって、クルーに迷惑をかけるつもりもないし
今まで通り、サンジとも普通に仲間としてやっていくつもりだ。
「ただ、、、サンジには特別の気持ちがあることを、言っておこうと思って。お前に」
ゾロは包み隠さずにルフィに伝えた。
透きとおった瞳で、しっかりとルフィを見据えている。
ルフィはしばらく無言でゾロを見つめていたが、大きなため息を零し、首を軽く振った。
「ゾロ、、、お前は、本当に、、、、俺に忠実すぎて呆れるよ。
船長としては凄く嬉しいけど、、、、お前、ひでぇヤツだな。俺の気持ち知ってるのに」
はぁ、、、とため息を二度もついて、ルフィは麦わら帽子を手で押さえた。
ゾロから目をそらし、顔を少し歪ませた。
「すまん。でも、ちゃんと言わないと、ダメな気がした」
少なくともルフィはゾロが大好きだ。そんなことはゾロ本人だってわかっている。
ただ、どれほど深いものかまでは、理解していない。
理解していないというより、ルフィが見せてはいない。船長として、そこは抑えている部分だった。
”わかってくれ”とゾロの目がひたすら願っている。
目をそらすことなく、ルフィの黒い瞳を見つめ続ける。
「俺との誓いは絶対だぞ、ゾロ。海賊王の隣は大剣豪。それは譲らないぞ、絶対に」
ルフィは顔を上げ、鋭い黒い目でゾロを見上げた。
帽子を少し深くかぶり、目の部分が陰になっていて、その印象は少し、怖い。
だが、ゾロはその睨みあげてきたルフィの顔に逆に安心感を覚える。
「当然だ。それは俺も譲らねぇ。それとは次元が違うぜ、ルフィ。大剣豪にしてもそうだ。
サンジがどうなろうと、鷹の目との勝負を邪魔するヤツは斬る。たとえ、お前でもサンジでも」
誓いと約束。それだけは何があっても譲る気なんてない。むしろ邪魔はさせない。
ただ、、、、生きること、目指す場所、野望。
それとは、全く関係ないところで、気を許すヤツがいる。
お前には俺の体を預けているだろう。俺の針路はお前が決めている。その針路の中で
俺は最強を探し出す。お前の命令に逆らう気は毛頭ない。
「でもな、サンジの事は、、、俺もよくわかんねぇけど、奇妙な感情が、、、」
ゾロが必死で説明している。
自分は船長のものなのだ、と忠誠を誓いながらも、それと別な気持ちでサンジは特別なのだと
言葉の少ないゾロが、頑張ってルフィに話をしている。
「だからな、ルフィ。俺は、、」
「わかったっ。もう、いい、ゾロ。ノロケてんじゃねぇよ。わかったって」
ルフィはゾロの口を手で押さえた。
「ふがっ」となったゾロの表情を見て、少しだけ微笑んだ。
ゾロの口を押さえたまま、むしろ強く押さえ込んだまま、ルフィは顔を近づける。
「わかったけど、オレはゾロが大好きだ。今までと何も変わらねぇ。これからもずっとな」
鼻先がつくほど近づいたルフィは、ゾロのオデコに軽くキスをした。
目を見開いて驚いているゾロに「しししっ」といつもの顔で笑うと、
ゾロの口から手を離すと同時に、ジャンプして見張台から飛び降りた。
慌ててゾロが甲板を見下ろしたが、ルフィは元気良く「腹減ったー!サンジ飯はまだかー!」と
船内に消えてしまった。
ふっ、、、ルフィ。驚かせやがって。
でも。ありがたい。本当に、、、、ルフィに感謝したい。
わかってくれた事にも、そして、変わらない態度でいてくれることも。
「ルフィはいいな。デケェ男だ。さすが、船長だ」
無駄に声を出してルフィを褒めたゾロは、気持ちのいい見張台の中で
スッキリした気分で昼寝タイムを楽しんだ。
「おう、クソゴム、飯はまだだ。あと一時間くらいだから我慢しろ」
腹減ったーと叫びながらキッチンに入ってきたルフィに、後ろ向きのままサンジが声を掛けた。
だが、入ってきたルフィは返事もせずに、ドアの前に突っ立ったまま動かない。
静かなルフィに、サンジは不審に思って振り返った。
ざわり、とサンジの肌が粟立った。
「なん、だ、、、、ルフィ」
一瞬、誰か、と思った。ルフィの黒い瞳が、突き刺さるように自分に向けられていて。
怒っている表情とも違う、ルフィの顔。得体の知れない迫力があって、思わずサンジは引きつった。
包丁を置き、ちゃんと向き直ったサンジに、ルフィは一歩一歩近づいた。
感情が読めない表情のままサンジの目の前まで来ると、
突然、ルフィはサンジの股間に手を伸ばし、ギュッと、握りこんだ。
「ぎゃぁっ!!何しやがるっ!!、、、いてっ、離せ!!いてててててっ」
もろにブツを握りこまれてサンジは身動きが出来ない。
それどころか、冗談ではなくて脳天まで痛い。
金的攻撃とは卑怯だ、と言いたいが言葉に出来ない。痛すぎる。
ルフィは悲鳴をあげているサンジに顔色一つ変えずに背伸びをして顔を近づけた。
「ゾロに手を付けやがって、、、辛抱が足りねぇよ、サンジ。んなことでお前、
”大海賊団の料理長”が勤まるのか?欲望くらい制御しろよ」
せっかくゾロのほうは頑張って気持ちを抑制させていたはずのに。
とうとうその壁をぶち破りやがって。
「知ってたさ、俺だってゾロの気持ちくらい。当然、お前のこともな、サンジ」
ルフィの低くて真面目な声色。
サンジは一度咽を鳴らして呼吸を整えてから、口角を上げてルフィを見下ろした。
「心配しなくても”俺とゾロ”が、海賊王の両脇を固めるって。それにな、辛抱ってのは
こういうことに使うもんじゃねぇんだよ」
俺らは海賊だ。それぞれが夢に向かって走り出す時、嫌でも辛抱する時がくるだろう?
ゾロが鷹の目と勝負する時こそ、信じて帰りを待つ、という辛抱をしなくちゃならねぇ。
明日、自分が生きているかどうかもわからない毎日で、辛抱なんてしてられっかよ。
鼻で軽く笑ったサンジだが、股間の痛みが一段と厳しくなった。
「痛っ!このっ、離せ!クソゴム!!」
サンジの顔に生理的な涙が滲んで来た時、ルフィがサンジの目じりをペロリと舐めた。
「今は、別に何もいわねぇよ、サンジ。ゾロにだって甘えられる人間が必要だってことくらい
俺にもわかる。なんせゾロは頭のなかはガキくせぇからな。俺よりもガキんちょだし」
でもな、サンジ。ゾロは自分のものだって浮かれてたら、俺がひょっこり掻っ攫うぞ。
「なんせ俺たちは海賊だ。欲しいものは奪い取る。しししっ、、、時間もたっぷりあるしな!
こういうことは辛抱しなくていいんだろう?言ったのはお前だからな、忘れるなよ、その言葉」
ま、でも、今はいい。ゾロが望んでいるし、それに、お前の望みだって俺は叶えてやりたいし。
ルフィはニヤリ、と笑うと、握っていた股間の力を少し緩めて、
ツツーっと布越しに、裏筋を撫で上げた。そしてさっきのゾロにしたようにオデコにキスを落す。
「グワッ!何っ、なにすんだっ!!」
真っ赤になって怒り出したサンジに、ルフィはいつもの顔で笑い出す。
「いや、間接キスみたいなもんだ。さっきゾロにもデコにキスしたし。
つまり、あれだ。俺は海賊王になるんだから、ゾロもお前も、みんな俺のものだな、うん」
俺のゾロと俺のサンジが、多少、仲良しでも問題ねぇな、うん。
大満足の顔で頷いたルフィは、「んじゃ、さっさと飯作れ」と明るくキッチンを出て行った。
口をパクパクと動かすだけで、怒鳴る事もできなかったサンジが
ややしばらく時間をおいてから、叫び声をあげたが、誰もいないキッチンで聞くものはいなかった。
人がイライラしてるというのに、ゾロは凄くご機嫌だ。
夜中の仕込み中にやってきて、「今日、ルフィにお前の事、言った」と、
可愛い笑顔で嬉しそうに話している。
ルフィはいいヤツ、ルフィはさすが、ルフィは心が広い、ルフィは、ルフィは、ルフィは!!
「うるせぇ!ゾロ!クソゴムの話しはもういいっ」
無駄に大声で怒鳴ってしまい、その声の大きさに自分も驚いた。
慌ててゾロの顔を見ると、驚きと、そして少しだけ悲しい顔で俺を見ていた。
「わ、悪い、、、、ちょっと今日、ルフィに挑発されてよ。苛立ってたんだ。悪かった」
咄嗟に謝った。俺らしくもなく、とっさにゾロに謝ってしまった。
ルフィがゾロに本気なのは知っている。ソレをゾロに見せていないことも知っている。
だからゾロは、ルフィが俺に、あんな事を言った、なんて想像出来ないだろう。
ゾロに苛立ちをぶつけるのは見当違いだ。
冷静になろう、とサンジは手を休め、タバコに火をつけた。
だがゾロは立ち上がってサンジのタバコを奪い取り、シンクに捨ててしまう。
何をする、と言おうとしたのだが、ゾロの顔が目の前まで近づいたのでサンジは押し黙った。
「何を言われてイライラしてんのかしらねぇが、ルフィを悪く言うんじゃねぇ。
ただ、オレはちゃんとお前の事を船長に報告したかっただけだ。それだけだ。イライラするな」
俺のことをちゃんと、報告。
そうだ。ルフィの事は置いておいて、ゾロが俺のことをわざわざルフィの報告したのだ。
ルフィの挑発でイライラしてしまったが、これはゾロの気持ちがガッチリと固まったって
ことじゃねぇか。ここは、すげぇ喜ぶ場面じゃねぇか、俺。
眉間に皺を寄せているゾロ。
せっかくルフィに承諾を貰ったんだ、と喜んでいたゾロの気持ちに水をさしてしまった。
「ごめん、ゾロ。そうだな、ここはイライラするところじゃねぇな。いや、もう、
ルフィがあんまりゾロ大好き小僧だから、つい、苛立って、、、ごめん」
許せ、とばかりに目の前のゾロの頬に手を滑らせた。
少し膨れたような不機嫌なゾロがジッ、と俺を見つめた。
言葉よりもわかりやすい手段で、謝る。
キスをすると、ゾロもちゃんと腕を俺の背中に回してくれた。
むぎゅ。
なんて簡単に伝わる方法だろうか。キスってやつは。
俺のゴメン、も、ゾロのわかればいい、も全てがキス一つで伝わる。
「キスってさ、いいな、ゾロ」
微笑むと、ゾロもキュッと赤くなって頷いた。
その顔に思わず安心して、緑の可愛い頭を撫でながらチョットだけ本音を零した。
「でもよ、実は心配してんだ。ルフィの一声でお前、ゴムのもとに走っちまいそうで。
こんなに惚れてる俺をポイってよ、あっけなく捨てて船長命令に従いそうで、、、」
情けない声になってしまって、途中で言葉が止まってしまった。
いったことを後悔し始めた時、恐ろしい激痛がオデコに来た。
ゾロの頭突き。強烈なやつ。
「アホか、てめぇ。信じられねぇっ!!」
ルフィはそんなヤツじゃねぇし、俺もルフィの犬じゃねぇ!!
「ルフィを侮辱しやがったら斬るぜ、サンジ。俺らはあいつに命預けてんだぞ!ふざけるなっ」
クソ真面目なゾロの顔。
あぁ、、、、コイツにとってルフィって、、、そっか。
”絶対的な存在”
だからルフィも本気を見せれないんだ。ゾロの選択権を奪う事になるから
だから、ゾロの為に。ゾロを自由にするために。本気で口説けないんだ。辛抱して、、。
「、、、そうだな。確かにルフィはすげぇヤツだ。」
なんでか、ルフィにはかなわないな、と思った。
男としてゾロを射止めたとしても、人としての器が、アイツは桁違いにでかいかもしれない。
サンジは少し、ゾロからはなれてイスに座った。
もう一度タバコを咥え、ゆっくりと煙を吐き出した。
「勝負にならねぇ」
一言、サンジは声を出す。
「あぁ!?やるか、このっ!」
まだ怒った顔で立っているゾロはサンジを殺気立って睨む。
頭が悪いのか、お子様だからなのか、見当違いに怒っている。それもまた、いい。
さっき、キスしたときは本当に可愛いゾロだったのに、この豹変具合もまた、魅力の一つだ。
「違うよ、ゾロ。ルフィの事だ。あいつとは勝負にならない、と言ったんだ。
お前についての勝負じゃなくて、人としての、、、でかさというか、、、」
考え方がそもそも違うから、俺とルフィじゃ勝負にならない、っていったんだ。
サンジが真面目な顔でゆっくりと語るので、ゾロもイスに腰掛けた。
ルフィはお前のこと、本当に大好きなんだな、って今、再確認していたところだよ。
独りごとのようにぼんやりとしゃべるサンジの顔を、ゾロはジッと見つめた。
なんだか情緒不安定に見えるサンジ。
イライラしてると思ったら急に怒鳴り、キスしたかと思えば急に情けない顔をして。
そうかと思えば何かを悟ったような顔で、落ち着いた。
「なんなんだよ、テメェは、、、言ってる意味がわかんねぇ。結局ルフィがどうしたっつーんだ。
俺はちゃんと船長であるルフィに承諾を得た、っつってんだよ、なんか文句あんのか、クソコック」
今度はゾロが苛立ってくる。
せっかくサンジとのこと、自分の中ではハッキリして。
だからルフィにちゃんと報告して。
これからはちゃんと、後ろめたい気持ちなんかじゃなくて
サンジと向き合おうと思ったのに。
「はっきり言え、サンジ。俺はお前じゃなくてルフィが似合いだと言いたいのか?
ルフィのほうがいい男だから、そっちにしろ、って言ってるのか?」
そういうことなら、、、、
ゾロは鬼轍に手をかけた。
ふざけるな、と言いたい。こんだけ人の気持ちを引っ掻き回しておいて。
辛抱しないで告白しておいて、ルフィにビビって逃げる気か、と。
容赦しねぇ。容赦しねぇぞ、クソコック。
ゾロの瞳が紅く怪しく光った。
サンジはその瞳を見つめながら、なんて美しい目をするんだろう、と他人事のように思う。
自分に向けられている殺気なのに、怖くない。
右手で濃口を切ろうと親指を鍔にかけているゾロに、サンジは微笑んだ。
「俺な、、、ヤキモチ妬いたらしい。ははっ、情けねぇことに、ちょっと嫉妬したみてぇ」
サンジの言葉にゾロの右手がふっと刀からはなれ、殺気立っていた顔は「はぁ?」という
表情に変わった。口をあけたまま首を傾げたゾロに、サンジは立ち上がって近づく。
「だって俺、好きだもんよぉ、、、、ゾロのことが、どうにもこうにも好きだからさ。
こんなにゲロゲロにゾロに惚れてる俺って、ちょっと引いたりしねぇ?お前、大丈夫?」
言ってから、サンジは自分に呆れた。普通なら引くよな、と自分でも思う。
しかも、男にこんなに惚れられてどうすんだ、とゾロに同情すらしてしまう。
座って自分を見上げているゾロの、フカフカしている髪の毛をまた、そっと撫でる。
ピクリ、と動きはしたが、されるままになっているゾロが愛しい。
「なぁ、お前、大丈夫?」
ゾロが何も言わないので、もう一度聞いた。
もし、大丈夫ではない、といわれたところで、どう変わるわけでもなく。
やっぱり、どうしようもなくゾロが好きな俺が残るだけなんだけれど。
ただ、黙って見あげてくるゾロ。本当に可愛いよな、と心からサンジは思った。
飽きもせずにそうしていると、急にゾロが動いた。
動いた、と思った瞬間に、ダンっと背中を打った。
気がつけば床に転がされていて、視点が合わないほど近くにゾロの顔があった。
ガチャガチャと、刀を外し、丁寧にテーブルに置いたかと思ったら、
再び、圧し掛かってきた。
「お前こそ、、、、、大丈夫か?サンジ」
ゾロは澄んだ瞳でサンジを見下ろすと、シャツを脱いだ。
首を傾げたサンジにニヤリと挑発的に笑い、噛み付くようにキスをして来た。
適切な言葉を使えないゾロの、コレが返事。
ゾロの熱い舌がサンジの口の中におずおずと入ってくる。
上手とはお世辞にもいえない深いキスをすると、ゾロはゼイゼイ肩で息をしながら
顔をあげた。赤い顔で、でも、挑発的な瞳のまま。
「俺はルフィにお前の事、好きだって言ったんだぜ?
くっくっくっ、、、、お前こそ、俺から逃げられねぇんだ。本当に大丈夫か?」
あとでお前が、”やっぱり、ごついゾロよりも可愛いルフィの方がいい”って言っても遅せぇよ?
ゾロは自分でしゃべった事が可笑しいのか、クスクスと肩を揺らして笑っている。
そして、ゆっくりとサンジに覆い被さり、ギュッと抱きついた。
「なぁって。大丈夫か、って聞いてるぞ、オレ。、、、、サンジっ、オレ、聞いてるぞ、お前に」
耳元で小さく呟くゾロの声が。ゾロの心音があまりにうるさくて、聞こえづらかった。
あぁ、、、やっぱり、どうしようもなく、ゾロが好きだ。
サンジは目をつぶり、ゾロのドクンドクンと早い心臓の音を聞いた。
小憎らしいことを言うくせに、こんなにドキドキしているんじゃないか。
「んっとにっ、、、ホントに、オレっ、、、、お前、好きだっ、ゾロ」
グルン、と体勢を入れ替えたサンジは、ゾロを見ながらゆっくりとネクタイを外し
シャツを脱ぎ始める。ゾロはシャツを自分で脱いだんだ。覚悟は出来てるんだろう。
「大丈夫どころか、こっちも逃がさないぜ、ゾロ。むしろ、ある意味お前の体が大丈夫か心配だぜ」
サンジの言葉に、ゾロは強がって見せた。
「はっ、お前が下になるよりは大丈夫だろ、きっと。それより出来んのか、お前」
緊張して、かすかに震えているくせに、そんなことを言ってるゾロが可愛い。
出来んのか、って聞いた時、少しだけ目が泳いだぜ?
「今、出来るか、って聞いた?俺に」
言いながら耳を舐めるとゾロが跳ねた。音を立てたピアスがランプに反射して光った。
それが何かの合図のように、サンジはゾロに手を伸ばした。
「なぁっ、、、うぅ、、、そんなトコに、、、ホントに入るのか?、、あ、あっ」
サンジがゾロの股間に顔をうずめて、優しく解している。
ゾロは一度イッているのに、もう、ペニスの先端からは雫が零れていた。
自分の尻の穴にサンジの指が入っているのだ。その周りを撫でるように舌が行き来している。
クチュクチュと、やらしい水音にも絶えられないが、
そんな場所に、、、、はいるのか、と、正直なところ恐ろしく思う。
顔を傾けるとサンジの勃起したペニスが見える。
無理っ。あんなもんが、、、、はいるわけねぇ!!
「な、サンジっ、、、ちょっと顔上げろっ、なぁ、って、おいっ」
金髪をグシグシと引っ張るので、渋々、サンジは顔を上げてみたが。
今にも泣きそうなゾロの可愛い顔を見てしまって、凄い勢いで顔を突き合せるようにあがってきた。
「ん?何、、、なんだ、ゾロ、、、も、いいの?入れるぞ?」
サンジはまるでラリってるような表情で、ウットリとゾロを眺めた。
「ちがっ、、そうじゃなくて、お前も、、一回、出しておいたほうが、、ぎゃっ!!」
まるで話を聞いていないサンジが、ゾロの入り口を硬い肉棒でノックした。
ヌルヌルになっているゾロの後ろはサンジのモノが少し押すだけで入りそうだ。
だが、サンジはゆっくり、ゆっくり、少しずつ、ノックを深くしていく。
「あぁ、、ゾロ、カリが、はいりそう、、、ほら、、、このまま押していいか?」
思い切り突っ込みたいのを我慢して優しくしてくれている。
欲情しているサンジの顔に、しばし気を取られて頷いてしまったゾロは
次の衝撃に、息を止めた。
「うぅぅ、、、いっ、、、」
痛いというより、吐きそう。体中全てが逆回転したような、血が逆流するような感じ。
サンジなりにゆっくりと入れてくれているようだが、脳天が割れそうな感覚。
力を抜け、と、声を出したサンジも歯を食いしばっている。
お前も痛いのか、と聞こうとしたら「やべ、イキそう」とサンジは肩で息をしていた。
優しいのに、何故か怖い、と感じた。
痛みが怖いとかではなくて、サンジの雄の部分が、今までに無い雰囲気で。
顔は優しいのに別人のようで。本当に食われるんじゃないかと錯覚した。
「いてぇか?ゾロ、、、、はぁ、、はぁ、ゾロ、、、ゾロ、」
ゾロは、痛いし、恐ろしいし、混乱していたが、とにかくサンジの頬に手を伸ばした。
「キ、、、キスしてから、、動け、、、っ」
覚悟を決めて、そう言った。どうなっても、しらねぇ、と開き直った。
キスをしたサンジは、本当に獣のような顔でゾロを見つめ、腰を動かし始めた。
「あぁっ、、、やっ、、、あ、あ、」
サンジは糸が切れたように、激しく腰を打ち付ける。優しく出来る許容範囲を越えてしまった。
ゾロの喘ぐ声とサンジの荒い息だけが響く。
「サ、、ゆっく、り、、、、あ、ぁ」
もう頭がおかしくなりそうで、痛いのか気持ちいいのかもわからなくて。
ゾロは知らずに涙がこぼれた。覚悟して体を開いたとはいえ
サンジは、全ての想いをぶつけるように、ゾロを抱く。
何度もゾロの名前を呼び、何度もキスをする。
狂ったように腰を打ち付けて、ゾロのペニスを擦り上げる。
「うぅ、、、サン、ジ、、、っ、、イク、、、あ、イクっ、ああぁっ」
仰け反ったゾロを追いかけて、サンジも唸ってゾロの中に出してしまった。
射精しながらキスをして、終っても、キスをやめない。
「んぁ、サン、ジ、、、ちょっ、、、しつこ」
腹の上も腹の中も、精液まみれでドロドロなのに、サンジがキスをやめない。
あまりにしつこいので、ゾロがサンジを引き剥がすと、
サンジは涙目になっていた。
「え、、」
ゾロが少し驚くと、サンジはまた、ゾロに覆い被さり、キスをする。
好きだ、ゾロ。
その言葉を馬鹿みたいに繰り返し、顔中にキスをしている。
きっと、、、、本当に辛抱できなかったから、俺に告ったんだな。
ゾロは、あの時の告白を思い出していた。
なぜ、辛抱しないのだ、と大声でサンジの告白を、怒鳴り返した。
モラルに反する、と言う事まで持ち出して、諌めようとしたことを覚えている。
サンジは、、、きっと、そんな事はずっと前に葛藤し終わっていたのだろう。
こうしてセックスした後に泣くなんて。
泣くほど嬉しいかよ、アホ、、、と笑ってやりたいが。
そんなアホな男が好きな俺も、終ってるな、と思い返して。
ゾロはキスが止まらないサンジを、もう一度起して、頬を両手で包んだ。
「よろしくな、サンジ」
だた、一言、そう言った。好きだという言葉はもう伝えている。
キスにも思いを込めて伝えている。だから、これから、セックスを含めて、ずっとよろしく、だ。
ゾロが綺麗な顔で笑った。
まだ、抜いていなかったゾロの中のサンジのペニスが、ドクン、と脈を打ち
また、大きくなってしまった。
「いや、、、、ちょっとまて、サンジ、、、や、あぁ、ちょっと、まっ、、あああっ」
サンジがゾロに返事をしたのは、もう1ラウンド終った後だ。
グッタリしたゾロに向かって、サンジは「こちらこそヨロシク」と
優しい顔で答えた。
「返事するのに、、、時差がありすぎだろ、サンジ、、、もう、日付、かわっちまった」
ゾロの眠そうな顔に微笑みながら、サンジは時計を見た。
時計の針は深夜0時をとっくに回っている。
「あぁ、、、今日、チョコレートのデザートを作る日だ」
サンジの呟きを、ゾロは夢の中で聞いた。
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ハッピー・ハッピー・バレンタイン。サンゾロ最高!
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